2015/08/27

バリ島のミツバチ (3) - 満月祭



ミツバチは「満月の日」にこの蜂洞に入ってきて、一年間ほど住みついて「満月の日」に出て行った。
 . . . . . 巣箱を譲ってくれたWarung氏が "この蜂洞にミツバチはどのくらい住み着いていたの?" という私の問いに応えて。

採蜜作業は「満月の日」の深夜、ミツバチが皆眠りについてから始めた。
 . . . . . バリの伝統的様式でミツバチを飼っているPermaculture Centerのブログ

何のてらいも気取りもなく「満月の日に . . . 」と語るWarung氏やPermaculture Centerの言葉の背景には、バリ島の人々の月に対する深いシンパシーがあるようだ。イスラム教徒の多いインドネシアで、バリ島は例外的にヒンズー教徒が多く、今でもバリ・ヒンズー教が生きている「神々の棲む島」でもある。

そんなバリ人にとって欠かすことのできないのが満月祭。満月の日は、大人も子供も、男も女も民族衣装で着飾り、近くの寺院や、家寺(自分の屋敷内にある私有寺)に参詣し、神への供物を捧げ、瞑想と祈りの時間を過ごす。
汗水流して稼いだお金の大半を、供物や祭の御馳走に費やし、この一ヶ月間に遭遇した幸と不幸、善と悪の全てを浄化し、新たな生活をリスタートする。
満月祭は、バリ人の生活サイクルに組み込まれ、"日常"の一部としてしっかり根付いているように見える。

現代のサイエンスが自然界の森羅万象の全てを解き明かしているわけではない。であれば、Warung氏やPermaculture Centerの言葉を、単なる思い込み、あるいは迷信と片づけるわけにはいかないはずだ。ミツバチの生態が月からの何らかのシグナル(潮汐力?)の影響を受けていてもおかしくない。バリ島の満月の日のミツバチには、熊野のワバチロスリン礼拝堂の石窟巣箱に通じるものがありそうだ。

今後の養蜂生活のテーマの一つに「月齢とミツバチの行動における相関性」を加えようかとかなり本気で考え始めているのは、バリ島のスピリチュアルな空気に感化されたせいかもしれない。

(写真上はimgLOP、中・下はSurfing The Planetからの借用)