2011/07/26

U君への手紙 No.2 "Bee-friendly gardening"

7/8「U君への手紙 No.1」の続き。

趣味の養蜂家の活動で、ニホンミツバチの減少傾向をストップ or スローダウンできるものでしょうか?

U君同様、私自身もこの点についてはかなり懐疑的です。

人がミツバチにしてやれることと言えば;

- 営巣場所(=巣箱)の提供
- 給餌(=砂糖液・代用花粉・水)
- 害敵駆除(=スズメバチ、スムシ、熊など)

. . . など、ごく限られています。とは言え;
  • ミツバチの場合には、巣箱を置けばその地域の営巣群が増えるという訳ではなさそうです。(この点、樹洞が減ったフクロウに巣箱を提供するのとは様子が違います。)

  • 給餌も、花蜜欠乏時の非常食や、産卵を促すためのカンフル剤的なもので、他のペット類のように“餌を与えて飼う”というわけではありません。

  • 害敵駆除への養蜂家の貢献もかなり限定的です。健全な蜂群であればミツバチ自身が自分達で防御し人の手を必要としません。自分達の手に負えそうもない時はより安全な場所を求めて住まいを移します。
+ + + + +

畢竟、ミツバチが生息する上で一番重要な要素は「豊な蜜源環境」との感を最近ますます強くしています。であれば、人ができることは、「ミツバチを飼う」こと以上に「ミツバチの好む環境作り」と言うことになります。

英国ケンブリッジ大学の"Bee Borders"(上写真)や、米国カリフォルニア州立大学の"Honey Bee Haven"活動(下スケッチ)など、欧米での "Saving the honey bee"の運動は次第にその方向へシフトしつつあるようにも見えます。(注)

日本でも、長野県富士見高校養蜂部の“富士見みつばち百花パートナー”や、“ビー・ガーデンづくり”などは、同じ潮流なのではと注目しているところです。

趣味の養蜂家の活動が、“bee-keeping”から“bee-friendly gardening”へと広がった時、「趣味の養蜂家の活動で身近にニ ホンミツバチの姿が増えた」と言えるようになるのかも知れません。

注記:
コンペで優勝したSausalito Design Teamのガーデン設計図。デザインコンセプトの詳細は、University of California のWEBサイトからpdfファイルとしてダウンロードできる。