2016/02/27

房総紀行 3/3 猫またぎ


今回の房総旅行のお土産の一つが保田港で仕入れたギラの干物。小骨が多く、棘が鋭く、魚肉が少ないせいで、地方によっては"猫またぎ"とひどい呼び方をされているスズキ目ヒイラギ科に分類される10センチ前後の小魚。 物珍しさと、詰め放題300円に惹かれ、ダメモトで買ったがこれが意外や意外、実に絶品の房総お土産になった。

そのまま焼いて食べてもそれなりにおいしいが、お薦めは、ガッテン流かす床に漬け込み、トースターで軽く焼いて食べること。骨や棘の固さは消え、ギラの旨みは一層増し、酒粕成分と小魚のカルシュウムを含んだ栄養満点の晩酌用おつまみになる。猫達には教えたくない食べ方。

房総紀行 1/32/3

2016/02/26

房総紀行 2/3 天の石笛(いわぶえ)


房総の浜辺を散策していると荒波に打ち上げられた色々な物が目につく。今日の収穫物は流木、錆びた "鮑おこし" 、そして中でも特に興味をひかれた穴開き石ころ。

海岸で出会った漁師に尋ねると地元では穴貝と呼ばれている貝の仕業らしい。ちなみにこの御仁、投網漁の名人で先日も黒鯛40kgを投網で水揚げしたそうだ。教えてくれた穴貝にまつわる情報も実に具体的だった。

確かに穴のなかにまだ貝殻が埋まったままのものもある。三浦海岸などでもよく見られる石ころだということは後で知ったが、初めて見る自分にとってはものめずらしく、目に入り次第拾ってポケットに入れて持ち帰った。

ネットで調べると穴開けの犯人は穿孔貝と呼ばれる二枚貝。穿孔貝と称される貝は他にも数種類あるようだが、今回見かけたのはカモメガイと呼ばれる種のようだ。

穿孔貝は英語ではボーリングシェル(Boring shell)。貝の先端部分を動かし、"貝の付け根のヤスリ状の部分を開閉して岩を削る" とか、"貝殻付け根がドリル状に回転して穴を掘る" と解説されている。

一方、特殊な体液を出して砂岩を溶かして穴を開けるという説もある。 もしかして掘削と溶解の両方の技を使うのかも知れない。ともあれ、そのように自分の成長に合わせて穴の深さや大きさを徐々に深く広くし、結局は終生その岩穴の中で生活するようだ。

穿孔貝が穴を掘る岩礁は潮の干満で露出と水没を繰り返す潮間帯。このことから、陸上の断層に見られる穿孔貝の穴跡から、過去に起きた地殻隆起や巨大地震の発生間隔などが推測できるそうだ。(神奈川県立生命の星・地球博物館 科学研究報告書)

"縄文時代に神事で使用された石笛は穿孔貝が穴を開けた石"と記述されたWEBもある。江戸時代の国文学者(で神学者)平田篤胤の房総半島行脚に同行しその顛末を記録した二人の弟子の著、「天石笛之記」に出てくる霊石笛 "天の石笛" もボーリングシェルの仕わざにも思える。

. . . と、穴開き石への興味と疑問はドンドン広がる。

房総紀行 1/33/3

2016/02/25

房総紀行 1/3 日本寺の羅漢さま


新鮮な魚介類を食べたいと出かけた房総半島への一泊旅行。旅行前には期待していなかった(と言うよりほとんど無知の存在だった)鋸山日本寺の羅漢像との出会いは今回旅行のメインイベントになった。

明治22年、第一高等中学校の生徒であった夏目漱石が著した房総紀行にも、漱石が羅漢像に圧倒された様子が記されている。
. . . おとづるるもの道の脇なる巖の下の二百体ばかりの石像を見て、まづ羅漢さまはこれで全部なるべしと思ひしに、なんぞはからんその岩角をむかうへまはればたちまちあらたに百餘像あり。. . . (中略). . .  その巨岩のうへにまた数十の像あり。. . . (中略). . . てつきり行きどまりとおもいしところに突如一洞穴ありて、洞内ことごとく羅漢さまなり。. . . (中略). . . つぎつぎと石ぼとけのあらはるるこそまことにおもしろけれ。
  (漱石の夏やすみ―房総紀行『木屑録』」からの抜粋)
そして、日本寺のもう一つの名物が「地獄のぞき」。訪れた観光客の多くが、手すりを掴みながら恐る恐るその先端に立とうとする。お金を払って遊園地の絶叫マシンに乗る行為に共通の習性と思えるが高所恐怖症の自分は遠慮した。

房州石の石切場跡を展望台として転用されたものだそうだが、木屑録ではこの石切場のことは触れられていない。多分漱石が訪れてからずっと後になって観光施設として整備されたものなのだろう。

火熱に強い房州石は倉庫、建物外壁、塀、かまどなどに盛んに使用されていたらしい。風化しやすい凝灰質砂岩の房州石の弱点で、その後しだいに大谷石やセメントに取って代わられ今ではほとんど産出されなくなったそうだ。

房総紀行 2/33/3

2016/02/20

エディブル・シティー (Edible City)

米国社会の経済格差は、貧しい人は新鮮で安全な食材を入手することさえ困難な状況に追い込んでしまった。であればと、街の中の芝生や空き地を耕し、健康的で栄養価の高い野菜や乳製品を自分達の手で作ろうという"都市農園"の運動が米国の大都市で大きなムーブメントになっているそうだ。「都市を耕す エディブル・シティー」はそんなの草の根運動を記録したドキュメンタリーフィルム。多摩エコフェスタ2016の上映会で観てきた。

食の正義、食料主権などの概念は日本ではまだ馴染みが薄いが、一日三度の食事を摂ることができない貧困家庭の子供が日本でも増えていることは時々TVで取り上げられる。その一方、日本の食品ロスは世界の食料援助全体量の約2倍との農林水産省の資料もある。

トマトやキュウリを一年中食卓に並べるためのハウス栽培では、露地栽培の5倍近いエネルギーを消費するとの説もある。映画の中で、 "私たちは野菜ではなく石油を食べている" と発言があった所以だろう。

飽食、孤食、ロス食品、壱番屋冷凍ビーフカツ事件、. . . 。最近とかく話題になりがちな「食」の問題を考える時、上映時間56分の小品ながら「エディブル・シティー」は一見の価値がある映画と感じた。

2016/02/14

春一番

隣の電気通信大学の構内で見かけた光景。気象庁は今日関東地方の春一番を発表。

府中観測所の記録:
最大瞬間風速17.5 m/s (04:01)
最高気温24.1℃ (14:25)

2016/02/10

庭にアカハラ


今日東京も庭に姿を現したアカハラ。去年の初見は3月21日だったので今年は随分と早い。

アカハラは、近年東京近郊でも姿はよく見かけるようになったが ”キョロンキョロン チー、キョロンキョロン チー”という囀りを聴いたことはまだない。繁殖期になると山地へ移動してしまうせいだろうか(?)