2013/10/24

サクラソウの目

一昨日読んだ「動物を守りたい君へ」の中に、鷲谷いづみ氏のサクラソウの研究に関する記述があった。

その内容が、先日、都立農業高校の公開講座で聞いたカタクリの結実率低下問題と酷似していることに興味を感じ、再び岩波ジュニア新書の中で見つけた鷲谷いづみ著「さとやま――生物多様性と生態系模様  」をアマゾン経由で購入した。

「さとやま」に書かれているサクラソウに関する話を要約すると;
  • サクラソウの大きな群落ではたくさんの種子ができるのに、孤立している小さな群落では花は咲いても種子ができない。だからその群落はいつの間にか消えてしまう。

  • 原因は、サクラソウの花粉交配を行なっているマルハナバチが小さな群落には訪れないから。

  • マルハナバチにとっては、春先に花が咲くサクラソウだけでは不満。春〜秋の間、次々と花が咲いて食糧を供給してくれる植物が周りにないと住みづらい。

  • また、マルハナバチは野ネズミが造った地中の穴に巣を作る。だから、近くに野ネズミが住めるような雑木林があって欲しい。
つまりサクラソウは . . .

  ①栄養と水分を与えてくれる湿地
  ②花粉交配役のマルハナバチ
  ③マルハナバチんお食料になる四季折々に咲く草花
  ④マルハナバチの棲家になる野ねずみの巣穴
  ⑤野ネズミに餌を供給する雑木林

. . . の全てが揃って初めて群落を維持できる。パッチワークのような自然界のつながりが興味深い。
鷲谷氏の研究内容をもう少し詳しく知りたいと注文した「さとやま」だったが、少々内容への期待違いがあった。同氏の別著、「サクラソウの目」か「サクラソウの分子遺伝生態学」の方が今回の目的にはより適当だったようだ。

注文したら翌日には配送されてくるネットショップは実に便利だが、時には今回のような勘違いも起きる。だから時には本屋を歩きまわったり、図書館をのぞいてみることも必要ということだ。

蛇足:
「さとやま」は、
今回の購入目的から少々ずれてはいたとはいえ、この本自体は実に面白く、決して無駄な買い物になったわけではない。