2013/08/29

粉山椒


山椒の実が色づき始めた。粉山椒作りは、果皮が緑色の青山椒を収穫して作る緑色粉山椒がベストという人もいれば、果実が真っ赤になってからの赤山椒で作る完熟赤山椒粉でなければという声もある。

わずかに赤味を帯び始めた果実もあるが、今はまだ青山椒の状態。一粒噛んでみると種子は固く真っ黒に熟し、粉山椒作りには十分な状態だ。明日は天気も良さそうなので夕方の散歩がてら青山椒の実を収穫。今年は青と赤の両方を試してみようと思う。

8月28日 10:00〜15:00 天日乾燥初日

快晴、微風、気温25度前後。湿度も低く絶好の天日干し日和。昨夜小枝を除き、水洗いしておいた実山椒を早速日向に出して天日乾燥の開始。

5時間の天日干しで実のほとんどが裂け、中の黒い種子が顔を出した。外皮の色は緑褐色に変わり、重量も乾燥開始時の158gが68gまでに減少。

8月29日 10:00〜13:00 天日乾燥2日目

昨日同様の天日干し日和。3時間干しても重量は68gから67gにまでしか減らない。水分はほぼ抜けたようだ。太陽光に晒し過ぎると果皮の緑色が消えてしまうらしいので乾燥作業を終了。

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乾燥させた実を粉山椒にする方法についてはネット上に様々な情報がある。

"種と皮の両方をすり潰す"という大まか派がいる一方で、"まず果皮と種を分離する。次に、果皮内側の薄皮をピンセットで取り除き、外側の緑皮だけを挽く"と言う小まめ派もいる。最も多いのは、"種を除いて(薄皮はそのままで)果皮を挽く"派。

多数派に従おうと、スリコギで軽く押して種と皮を分離し、竹製狭匙(セッカイ)で種と皮を掻き分けようとするがこれが結構面倒な作業。途中で作業を放棄し、種・果皮が混在したまま真空パックに袋詰して冷凍で保管することにした。種子を除いて果皮だけを粉にして利用するか、種も一緒に挽くかは、粉山椒を使用する時の気分で決めることにする。

2013/08/25

(続) インドネシアのフクロウ

インドネシアで入手した木彫りフクロウのモチーフはマレーワシミミズク(Malay Eagle Owl、Bubo sumatranus)の可能性が高まってきた。

(右写真は、掛川花鳥園WEBから拝借した。)

フクロウの「種」の峻別では鳴き声が重要な要素らしい。でもその鑑別方法を木彫のフクロウに適用するのは無理な話だ。そこで、インドネシアに生息する42種のフクロウの写真と、木彫りフクロウの外観を丹念に比較してみたが、マレーワシミミズクに一番似ているように感じる。

科学技術研究所のWEBに記述されているマレーワシミミズクの3つの特長 . . .
① サングラスをかけているように見える目。
② 基部は白く先端が黄色い嘴。
③ 白い細かな縞模様の耳角(ジカク)。
. . . とも一致する。デフォルメされてはいるが木彫りフクロウにはそれらの特長が忠実に表現されているように見える。

おとなしくて愛嬌のあるマレーワシミミズクは、ペットとしてよく飼育されているらしいので、木彫り作者は身近にいたマレーワシミミズクをモデルにしてこの飾り物を製作したに違いない。

2013/08/18

インドネシアのフクロウ

シンガポール滞在中の週末に出向いたバタム(Batam)島で、インドネシア国に初めて足を踏み入れた記念にと椰の木に彫られたフクロウを買った。
(サイズ:100cmLx15cmW、価格:日本円換算で約8000円)

購入時には、彫り損なったのではと思った最上段フクロウのいまにも泣き出しそうな顔つきも、何度も眺めていると田中邦衛風でこれはこれでまた味がある、と感じるようになってきた。



モチーフになったフクロウの「種」は何だろうと調べていて、インドネシアのフクロウに関する多くのことを知った。

ジャカルタの街ではフクロウが子供のペットとして売られているそうだ。バタム島でも地元の商店街を丹念に探せばそんな店が見つかったのかもしれない。(と言っても、生きたフクロウをお土産として購入するつもりがあったわけではないのが。)

国よって(あるいは時代によって)、フクロウは忌まわしい凶鳥と考えられたり、吉鳥として慕われたりと毀誉褒貶の激しい鳥だが、インドネシアでは明らかに後者のようだ。
フクロウ学のエンサイクロペディアとも言えるThe Owl Pagesによると、スラウェシ島のマレー系ミナハサ(Minahasa)族は、旅行に出る時フクロウの鳴声でその旅の吉凶を占うそうだ。民族旗にフクロウの姿が描かれていることからも、フクロウに対する並々ならない敬愛の念が汲み取れる。

今年の2月、インドネシアのロンボク(Lombok)島で新種のフクロウが確認され「地球上を調べ尽くした」と信じていた鳥類学者の間に、"まだ新種の鳥がいたのか!"と驚きと興奮が走ったのだそうだ。発見されたロンボク島にある火山の名前をとりリンジャニ・コノハズク(Rinjani scops owl)と命名された。(米科学誌PLoS ONE研究論文

インドネシアの野鳥一覧」には、「フクロウ目フクロウ科」と「フクロウ目メンフクロウ科」で41種のフクロウがリストアップされている。一方、日本では留鳥のシマフクロウを加えても7種。注(1) この数字の比較だけからでも、インドネシアの自然が “生物多様性の宝庫”と呼ばれる由縁が伺える。
大小1万8千以上の島からなるインドネシアには、さらなる未知の野鳥が生存しているのでは、との期待が高まっているらしい。

注記:
(1) 野鳥観察ハンディ図鑑「新・山野の鳥」1998年初版第一刷発行。以前はヨタカもフクロウ目ヨタカ科として分類されていたが、その後ヨタカは独立したヨタカ目組み変えられた。
(2) 右上写真は同論文から、他の2点はFlickrから借用した。

2013/08/10

超強烈的痺味本格四川麻婆豆腐


辛子の辣(ラァ)と山椒(=花椒)の麻(マァ)との両方が中途半端でないのが四川麻婆豆腐の証らしい。シンガポール中華街の「老成都」は知る人ぞ知るそんな本格的四川麻婆豆腐の店なのだそうだ。

最初は誰もがそのホットさにたじろぐ。
そして、"一度体験したからもういいや"と店を後にする。
しばらくするとあの辛さが懐かしく感じまた足を向ける。
 そんなことを何度か回を重ねているうちにその刺激の虜になってしまう。

. . . いうのが、ご馳走してくれたシンガポールでの在住歴が長い案内人の解説。

確かにすごい。"ためしてガッテン"の「美味しい感を増幅させるなどという生易しいレベルの話ではない。粉山椒と、粒のまままの実山椒の両方がタップリ混ぜ込まれた「麻味」は、最初の一口で舌が痺れ、二口目で口全体が麻痺する。薬味や隠し味ではなくそれ自体が味付けの主役だ。強烈な刺激はアク抜きなどの前処理はしていないに違いない。

中華人にとってはこの「麻」こそが旨辛味の本質なのだそうだ。これまで自信を持っていた自分の"ホット"舌はもっぱら「辣」に対してで、「麻」にはからしき軟弱であったことを認識させられた。そして、実山椒にはこんな利用方法もあったのかと目を開かされた。

2013/08/05

大泉村とキセキレイ


北杜市大泉総合支所(旧 大泉村役場)の玄関横に飾ってあるマンホールの蓋。キセキレイが大泉村の村鳥だったことを初めて知った。
村政施行120周年(平成8年)に作られた村歌にもキセキレイが歌われており、大泉村の観光名所、吐竜の滝でもキセキレイの姿はよく見かける

富士の峯に 朝日昇れば
アルプスは 黄金に輝く
野は広く 大気は澄みて
夏の日の 暑さを知らず
おのずから 温泉の噴き出でて
冬の夜の 寒さを忘る

キセキレイ 水辺に舞えば
カラマツは さみどりに萌え
ホトトギス 空に名乗れば
ヤマツツジ 地に咲き匂う
名にし負う 多き泉は
水清く ヤマメ瀬をのぼる

村人は 勤勉律儀
睦み合い 他と争わず
田を開き 畑を返し
豊かなる 秋を楽しむ
八ヶ岳の峯 夕映え赤し
明日の日も 幸多からん

(作詩 金田一春彦 作編曲 坂田晃一)

2013/08/01

ニホンミツバチとニホンザル

窓際でPCに向かっていると視界の隅を横切る影。顔を振り向けると、こちらの様子を伺いながらベランダをゆっくりと猿が歩いていた。背中には小猿がしっかりとしがみついている。30年近い八ヶ岳南麓での生活で猿の姿を見るのは初めてだ。それもこんなに身近で!

以前は釜無川の南アルプス側にしかいないとされていたニホンザルだが、ここ数年七里ヶ岩台地や小淵沢近辺でも見かけるようになったとの噂は聞いていた。でもわが家の山荘は釜無川から最短部の直線距離でも10キロ、その間には国道20号(甲州街道)と釜無川、そして七里岩ラインや中央道、と二重三重に分断されている。時折餌を求めて遠出をして来る猿がいるにせよ群れで移住してくることはまずないだろう、とたかをくくっていた。

そう言えば数日前に歩いた信州下蔦木宿近くで、集落全体の農地が2メートル以上の高さの電牧柵で囲まれた光景を目にした。ニホンシカにしてはずいぶんと大仰だなと感じたがサルへの防御ネットだったようだ。
ニホンザルは . . . 町内に2群以上(300頭以上)生息していると推定される。. . . 電牧柵の設置や年間100頭以上の捕獲を実施しているところであるが、被害の発生は抑止できていない。. . . (富士見町鳥獣被害防止計画)

ベランダを歩いていたニホンザルが、子供を背負って国道20号や中央道を横切って、はるばる南アルプスから出向いて来るとは考えにくい。既に八ヶ岳南麓に集団移住してきた群がいて八ヶ岳南麓で出産した子供の可能性が高い。

ミツバチとサルの関係を調べてみると、みつばち協議会作成の「養蜂マニュアル」に次のような記載があった。
ニホンザルが巣箱から巣板を抜き出して蜂児を捕食する被害が東海地方で報告されています。今のところ大きな被害は報告されていませんが、ニホンザルがいる目の前で巣箱を開けたり 、蜂蜜や蜂児が残っている無駄巣などを近くに捨てると 、サルは蜂児の味を覚えてしまうので、サル用のネットと電気柵を利用して追い払ってから作業を行いましょう 。
ネットにせよ、電気柵にせよ、知恵者のニホンザル相手ではこれまでの鹿対策とは比べものにならないほど厄介な作業になる。文章から察すると熊のようにニホンザルがハチミツを狙って巣箱を荒らす、ということは無さそうだが、八ヶ岳南麓で農産物の被害のニュースが出るようになったら何らかの対応策を考える必要があるだろう。

注記:カメラを準備する前に姿を消し自分では撮影ができなかったので、上写真は、目撃したのとそっくりの姿の写真を愛宕山自然動物園のホームページから拝借した。