2011/08/30

蜜ドロボー

山荘の庭で咲いているツリフネソウとキツリフネ。

蜂からみた花の世界」(佐々木正己著)によれば . . .
  • 距の先端を巻き込んでいるツリフネソウは長舌種のトラマルハナバチしか蜜腺まで口吻が届かない。
  • そこで口吻の短いマルハナバチは、外側から花に穴を開けて盗蜜する。
. . . とある。

この行動は、「マルハナバチは、ツリフネソウに対して盗蜜者(nector robber)」と呼ばれる。
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盗蜜者の手口は、花に穴を開けて外から蜜を吸い取るだけではない。
  • 花びらや蕚(がく)の隙間から蜜を吸う。
  • 長い口吻を延ばし、葯や柱頭に触れないで花蜜を吸う。
  • 小さい身体で、葯や柱頭を避けて蜜腺までもぐり込む。
  •  . . . . .
どんな方法であれ「Give(=受粉活動)をしないでTake(=集蜜)だけする」昆虫の行動は全て盗蜜者。だから、マルハナバチが開けた穴を拝借して、そのおこぼれを頂戴するミツバチもこの時は当然「ツリフネソウの盗蜜者」と呼ばれることになる。

“蜜ドロボー”をしているミツバチの姿を撮影しようとツリフネソウを見回っているがまだその瞬間に出くわさない。

追記:
ミツバチが他の蜂群の巣箱の蜜を盗む行動も「盗蜜」(または盗蜂)と呼ばれる。花に対する盗蜜行動と区別するため、このブログでは“蜂群間の貯蜜の奪い合い”行動は全て「盗蜂」と書き改めた。

2011/08/29

スイスの観光資源


毎回思うことだが、スイスの観光資源の開発意欲には感心する。時には、“ここまでやるか!”と感じる時さえある。

トレッキングコースもその一つ。2000〜3000メートル級の山上散策を、健脚自慢だけでなく、車椅子使用者、ベビーカー持参組、愛犬同伴者、 . . .と、誰もが自分の体力や条件に合わせて楽しめるようなコース・デザインがなされている。

それを可能にしているのが登山鉄道。そして、それと巧みに組合わされたバス路線や、ケーブルカー、リフト、エスカレーター。更には、崖を昇降するエレベーターや湖上を渡る船。

ありとあらゆる手段を駆使し、なにがなんでも観光客を絶景ポイントへ運ぼうとする。
* 写真はグリンデルワルトの村で見かけたウィンドー飾り

案内書や看板も、表記方法やコース番号が統一されていて実に使い勝手がいい。要所要所に設置されたトイレも清潔。

もちろんこれらの全てを維持するには、絶え間ない保守管理があってのこと。
* 写真はアイガートレイルのコース補修作業員

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日本列島の変化に富んだ自然景観も決してスイスに負けてはいない。やりようによっては、スイス以上の観光資源の開発が可能なのでは、という気がしないでもない。

でも、. . .
. . . と聞くと、それが一朝一夕にできる話でないことだけは確かだ。

2011/08/28

ハニーディッパー考


粘性の高いハチミツは垂れ糸(?)が途切れることがないので普通のスプーンでは扱いにくい。そこで、ハニーディッパーの出番となる。

私見での良いハニーディッパーの条件は;
  1. 掬蜜量:一回で掬(すく)い取れるハニー量が多い。
  2. 保持力:ハンドルを回すとハニーがディッパー頭部に安定して纏わりつき垂れ糸が出ない。
  3. 切れ味:回転を止めると素早く蜜が落ち、ディッパー自体への付着残滓量も少ない。
  4. 操作性:片手でスムーズに回せるハンドル部の形状と太さ。
  5. 簡易性:洗浄や保管が容易なシンプルなデザイン。
以上のような性能を決定づけるのは、材質、ヘッドのデザイン、柄の形状や太さ、. . . など、いろんな要素が絡まってくるので選択は意外と難しい。
デザインは個人の好み次第だし、ハンドルの長さは、使用するポットのサイズとの相性もあるので一概に優劣は付け難い。

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スイス旅行で買い求めたハニー・ディッパー3種(①〜③)を、これまで使用してきたもの(⑤〜⑥)と比較してみた。*スイス製かどうかは不明。
  
① 凹シェープの柄は手触りが良く回転操作も容易。ハチミツ保持力にやや難。

② 可も無く不可もない。「切れ味」がいまひとつなのは木質系ディッパーに共通のマイナス要因。価格が安いのは◯。

③は、ステンレスコイルが太過ぎてミツバチ保持力に難。柄頂部の飾りは回転操作に邪魔になる。

結論はこれまで使用してきた⑤番のステンレス製球型ヘッド。“使い慣れ”の要素を差し引いても機能面では一番使い勝手が良い。

この改良型、エッジ・フック付きモデルも海外のネットショップで販売されている。ハニーポットの縁に引っ掛ける機能は確かにグッドアイデアと思われ興味はあるがまだ入手していない。

2011/08/27

スイスのサイクリスト

峠越えのバスの中からサイクリストの姿を頻繁に目にした。

車でもオーバーヒートしそうな延々と続く上り坂。ローギアで必死に漕いでいる姿を見ると思わず声援したくなる。
マウンテンバイク(MTB)・コースも豊富。日本最大級と言われる入笠山のMTBダウンヒルがミニコースと思えるほどの壮大な規模のコースがあちこちに整備されている。
トレッキングコースと併用のものも少なくない。
Wengenの村では小学生の通学もMTB。小さい女の子が、かなり本格的なマシーンを操っている。

世界自転車選手権の過去の総入賞者数57人のうち15人がスイスというのもなんとなく頷ける。
*男子マウンテンバイク・クロスカントリー部門

2011/08/26

スイスのお土産


スイス旅行の定番土産品と言えば、チョコレート、アーミーナイフ、スウォッチ。今回は少しユニークな記念品を、と考えた。
  • 木工の街Brienzの工房で見たフクロウの木彫り。精悍で実にいい顔をしている。
     木工職人の話:「これは製作用見本、売るわけにはいかない。2週間待てば一体彫ってやる」。いくら暇人とは言えそこまで待つ訳にはいかない。」. . . でこれは断念。
  • Wengenのレストランでウェイターが使用していたウェストポーチ。養蜂作業時の道具入れとして使えそうだ。
    ウェイターの話: 「これは軍隊時代に支給された思い出の品。どんなに頼まれても譲る訳にはいかない。」. . . 頑として首を縦に振らないのでこれも断念。
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結局入手できたのはBrienzの老舗木彫工房 HUGGLERで買い求めた人形。

値段570SF(約6万円)は、わが家のお土産品としては少々奮発した買物だが、素朴な雰囲気の二人がなんともスイスらしいのが気に入った。

台座はアイガー北壁から崩落した岩石のかけら。アイガートレッキングの途中に拾ったものなのでこちらは無料。

2011/08/25

スイスのハチミツ

スイストレッキング旅行で滞在したWengen村、人口千人少々の小さな村としては、スーパーのハチミツコーナーはかなり広く品揃えも豊富だった。

ホテルやペンション仕様の商品は容器が違うので、棚の商品の大半は地元の家庭で消費されるものと想像される。

「67g入小瓶3本セット」の観光客のお土産用らしいハチミツも売られていた。組合せの中にクリーム状ハチミツが一本入れてある。宿泊したホテルの朝食でも、いつも液状とクリーム状のハチミツの両方が備えられていた。

そういえば英国航空の機内カタログ販売のエリカハチミツもクリーム状だった。液状ハチミツ(それも透明なもの)を好む日本の消費者嗜好との違いが伺える。

ハチミツ種類の区分も興味深い。菩提樹蜜、ヨーロッパナラ蜜、アカシア蜜などの単花蜜に加え、「木の花の蜜」、「森の蜜」、「高原の花蜜」と表記されている。複数の花蜜がブレンドされた“百花蜜”を、採蜜地の環境で分類しているようだ。

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スイス養蜂組合のWEBサイト(Swiss Beekeeping Association)によると、スイスでは1キロ平米で飼育される蜂群数は4.5群、蜂群密度が世界で最も高い国の一つなのだそうだ。19,000人の養蜂家が、総数は170,000群のコロニーを飼育していると言う。

移動養蜂はほとんど行われておらず、一群の平均ハチミツ生産量は平均10キロ。これは専業養蜂家としては採算が合う数字とは思えないので、大半の養蜂家が自家用か、副業養蜂家なのだろう。

日本のハチミツ市場を席巻している、中国産やニュージランドのマヌカハチミツはWengen村では一度も見かけなかった。

2011/08/24

アイガー北壁の不審者

1800mの岩壁が垂直にそそり立つアイガー北壁。その直下をトレッキングしている時、岩盤にぶら下がる二つの人影を見つけた。

場所は、アイガー内に掘られたトンネルを走るユングフラウヨッホ行き鉄道のEigerwand駅、アイガー北壁展望窓の直ぐ近くだ。

最初は、展望所の窓ガラス拭きでもしているのだろうと思ったがそんな様子でもない。といって、北壁登攀に挑戦しているクライマーでもなさそうだ。
双眼鏡を使ってやっと見える程度なので、目立ちたがり屋のパフォーマーでもないだろう。*写真は36倍ズームで撮影したもの。

途中からドイツ人のトレッキンググループも合流して「ああの、こうの」と二人の行動目的を推測したが結論はでなかった。

同じくアイガーを登る不審者でも、ベルンの街で見たSwiss Milkのポスターの方がまだずっと分かり易い。

2011/08/23

スイスの蜜蜂


道端のあちこちで群生していた満開のヒース。スコットランドでは主要蜜源の一つとされ、英国航空の機内でも“エリカハチミツ”としてカタログ販売されている。

トレッキングコースではこれ以外にも蜜源になりそうな草花はかなり豊富。でもそこに蜜蜂の姿を見かけることは一度もなかった。

今回のスイス旅行で出会ったミツバチは全て標高の比較的低い集落近辺だけ。標高2000m前後のトレッキングコース近辺では寒さが厳し過ぎるせいだろうか?あるいは、草原や岩場だけで、営巣場所の樹木がないせいなのだろうか?


    ① Alpiglen駅の道路脇 (標高1600mの地点) *Centaurea montana(ヤマヤグルマギク)
    ② Brienzの町の道路植込み ( " 550m  "  " )  *Centaurea jacea(ヤグルマギクの一種)
    ③ Grindelwald村の住宅庭の花畑 ( " 1000m  "  " )

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旅行前の下調べで読んだスイス養蜂組合のWEBサイト(Swiss Beekeeping Association)には、”スイス国内で飼育されている蜂群の80%が蜂小屋(Beehouse)で集団飼育されている”と記されている。スイスの養蜂形態もスロベニアと同様のようだ。

宿泊したWengenやBrienzの集落近くにこの蜂小屋があればぜひ見学させてもらおうと考えていたが、それらしいものを見たのはベルニナ鉄道がイタリヤとの国境を通過する直前に一度だけ。車窓から農家の庭に置かれているのがチラッと見えただけだった。

2011/08/22

スイスの登山鉄道

スイスの登山鉄道は凄い。今回の旅行中に乗ったロートホルン鉄道はその代表格。250パーミルという急勾配を蒸気動力で駆け上る。

水平距離1000mに対し、垂直距離250mを上るのがいかに凄いかは、箱根登山鉄道=80パーミル、叡山電鉄=50パーミルと比べれば良く分かる。

それを可能にしているのがあちこちに張り巡らされたラック&ピニオン方式の鉄道。もちろん、観光産業の重要なインフラだが、住民の日々の暮らしを支える基幹物流網でもあるようだ。

旅行で滞在したWengen村。人の移動はもちろん、商店で販売する商品、工事で使う砂利や土砂の運搬、牛や羊の移動、村で出たゴミの搬出、. . . 。あらゆるものがこの登山鉄道で運ばれていた。

ちなみに、ロートホルン鉄道と大井川鐵道、ベルニナ鉄道と箱根登山鉄道は姉妹鉄道の提携をしているそうだ。

2011/08/21

スイスアルプス紀行

スイスアルプス旅行(8月11日〜21日)の記録。
ベースは、前半がSt.Moritz、後半はWengen。

August 12
Narita〜London〜Zürichと乗り継ぎ、昨晩はZürich空港内のホテルで一泊。早朝、Zürichをバスで発ちJlierpass (2284m)越えでお昼過ぎSt.Moritz到着。


午後:Piz Nair山頂展望台(3030m)へ。快晴。


August 13
午前:Bernina Diavolezza (2973m)展望台へ。眼前にPers氷河。

午後:Muottas Muraigl〜Alp Languardのトレッキング。
- 距離 6.2km
- 標高 Muottas Muraigl 2453m〜Alp Languard 2300m
- 高低差 431m

August 14
ベルニナ特急でイタリアのTiranoへ。

 

August 15
豪雨のSt.Moritzをバスで発ち次の宿泊地Wengenへ。Wengen村から見えるJungfrauの夕景。


August 16
アイガートレイルトレッキング。
- 距離 6km
- 標高 Eigergletscher 2320m → Alpiglen 1616m
- 高低差 784m

August 17
遊覧船でブリエンツ湖〜ブリエンツロートホルン。
(Brienz Rothorn 2298m)

 

August 18
グローセ・シャイデック〜シュレックフェルトのトレッキング。
- 距離 5.3km
- 標高 Grosse Scheidegg 1962m → Schreckfeld 1954
- 高低差 59m

August 19:
ベンゲンからベルン(Bern)へ。35度を越える暑さの中で、橋桁からアーレ川に飛び込み水浴に興じる人々。

August 20:
チューリッヒ〜ロンドン〜成田
21日朝、到着した成田空港はタイミング良く酷暑も通り過ぎ快適な気温。

2011/08/04

軽井沢式 トップ・バー・ハイブ

先日、山荘に見えた軽井沢のTN氏、自作のミツバチ巣箱を携えての来訪だった。 そのTBH巣箱には氏の独創的なアイデアが数多く盛り込まれていて興味深い。


待受巣箱:
分蜂群捕獲ではミツバチが最も好む言われている丸太の形状に近い8角形。手軽に入手できる平板を組合わせて製作されたコンパクトで軽い巣箱。両手に巣箱を抱えて、渓谷を下り、あるいは崖を登るなど、捕獲作業の現場を熟知した人ならではの知恵が伺える。

飼育巣箱:
分蜂群が入居するとその待受巣箱は引き続き飼育巣箱として使用することも可能だ。このことは捕獲群を別の飼育用巣箱に移すことによる逃去のリスクが軽減できる。

継箱:
比較的コンパクトな待受巣箱は、蜂群が増勢して巣箱容積が足りなくなることも多い。この問題には、巣箱本体に同じ8角形の継箱を乗せることで解決している。そこにはWarré牧師の“縦型”TBHのコンセプトに相通じるものがある。

採蜜:
ミツバチは上部継箱に貯蜜するので、採蜜時に育児圏を傷めることがない。その上、継箱に巣枠やトップバーを装着することで、ミツバチが越冬に必要な貯蜜は残して一部巣板だけを抜き取って採蜜することもできる。

+ + + + +

分蜂群捕獲〜飼育〜採蜜と、養蜂サイクルの全ての側面を考慮しながら、様々な経験と知恵が加えられたニホンミツバチ用トップ・バー・ハイブ。TN氏との会話から実に多くのヒントをもらった。

2011/08/01

蜜源植物:ハチミツソウ


一昨年、軽井沢町植物園で初めて知ったハネミギク。「播種→苗床栽培→露地移植」を繰り返し株数も随分と増えてきた。

別名ハチミツソウとも呼ばれるぐらいだから、さぞやニホンミツバチが群れをなして集まるだろうとの期待で栽培している。

一見、一個の花に見えるが数個の舌状花と数十個の筒状花が集まったもの。それぞれがオシベとメシベをもった花の集合体なので、一本の茎に付く“花の数”が多いのはヒマワリなどと同じだ。

ただ、我家のハチミツソウ畑では、ハナバチかハバチの仲間らしい数種類の小型の蜂が花粉を集めてはいるが(下写真)、ニホンミツバチが訪花している姿はまだ見たことがない。

蜂からみた花の世界」(佐々木正己著)での蜜源評価は[Good]。 そして、著者が「残念ながらあまり普及していない」とコメントしていることからも、基本的には有望蜜源花であることは間違いないはずなのだが?