2010/01/16

明治大正の蜜蜂


“せたがやボロ市”で見つけた古い教科書二冊。一冊は、明治26年発行の「小學理科新書」。もう一冊は、大正11年発行の「女子動物學新教科書」。
どちらにもミツバチに関する記述があるのが気にいり躊躇なく買った。

挿絵も含め、行間からいろいろな推測が膨らんくるのが楽しい。特にオスバチの説明が面白い。

小學理科新書では、オスバチを「守蜂」と呼んでいる。
巣門付近にたむろしているオスバチを見て、巣を警護している姿と誤解した? . . . それとも、 
子孫繁栄の要として群を守っているのは当然オス、という社会的価値観の反映なのか?
女子動物學新教科書では、女王バチ、働きバチの仕事について詳しく説明されているが、オスバチの役割については全く触れられていない。
当時はまだ雄蜂の生態が十分に理解されていなかったため?それとも . . . 
高等女学校の授業で、 “オスの仕事は交尾だけです” と教えるのが憚られたせい?
ともあれ、明治・大正時代、ミツバチは尋常小学校や高等女学校でかなり詳しく教えられていたようだ。小學理科新書ではミツバチは蚕と同じ章で取り上げられている。当時の農民にとって、ハチミツ生産が蚕と同じような換金性産品だった可能性を示唆している。

下写真は教科書でミツバチのことが記載されたページをスキャンしたもの。教科書の余白に書き込まれたノートからは、ミツバチの授業を一生懸命聞いている女学生の姿が浮かんできて微笑ましい。一冊300円の掘り出し物。


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